はじめに
こんにちは、ともです。
心理カウンセラーを目指して学びを深める中で、不登校傾向の高校生へのカウンセリング対応について、考える機会がありました。
今回ご紹介するのは、ロールプレイで行った高校生クライアントの初回面接のやり取りです。
「話さない」「心を閉ざしているように見える」思春期の子どもと向き合うのは、保護者や先生、支援者にとってもとても難しいことですよね。
このセッションでは、“話せない”子への共感的な関わり方や、初回面接の組み立て方、
そして何より、相手の変化を焦らず“信じて待つ”ことの大切さをあらためて感じることができました。
クライアントについて
- 名前:田中 悠(たなか・ゆう)※仮名
- 年齢:16歳(高校1年生)
- 主訴:学校に行く
- 背景
- クラスになじめず、友達もほとんどいない
- 家ではゲームやYouTubeばかり
- 母親とはよく衝突し、父親はほとんど無関心
- セッションには母親に無理やり連れてこられた
◆初回セッションのやり取りと解説
カウンセラー:こんにちは。今日は来てくれてありがとうございます。来る前はどんな気持ちでしたか?
クライエント:……こんにちは。正直、母さんに無理やり連れてこられた感じです。
なんか「このままじゃダメだ」ってすごい言われて。別に、そこまで困ってるわけじゃないんですけど……
でも、まあ、なんとなく……来ました。
【💡解説】
▶ 最初は“話す内容”ではなく、“来てくれたこと”に焦点を当てるのがポイント。
▶ 「どんな気持ちで来てくれたか」を聞くことで、クライアントの主体性を少しずつ引き出せます。
~続き~
カウンセラー:そうだったんですね。来るのが億劫だったけど、来てくれたんですね。
今日来る時どんな気持ちになってましたか?
クライエント:うーん……なんか、めんどくせぇなって思ってました。
正直、別に困ってないし、どうせ話しても変わんないし……って。
でも、母さんがずっとうるさくて……。
「せっかく予約したんだから」とか、「このままじゃ将来困るよ」とか言ってきて……。
……正直、なんでそこまで言われなきゃいけないのか、よくわかんないです。
カウンセラー:そうですよね、自分の行きたいと思っていないところに行くなんて、めんどくさいですよね。
それを言われた時、体はどんな感じになりますか?
【💡解説】
▶ クライアントの“反抗的な言葉”を否定せず、共感しながら受け止めています。
▶ ▶さらに、「身体感覚」に意識を向けることで、クライアントの感情の深部にアプローチしている場面です。
~続き~
クライエント:……言われるたびに、なんか胃がキュッてなる感じがします。
あと、頭の後ろのあたりがズーンと重たくなる感じも……。
なんか、「うるせぇな…」って思っても言えないし、言ったら怒られるし、結局何もできなくて…。
自分が悪いのかなって気にもなって……疲れます。
カウンセラー:「うるせぇな」って思っても、ちゃんと言わずにえらいですね。胃がキュッとなったり、頭の後ろがズーンと重たくなるんですか、、、その時、どんな気持ちになってることが多いですか?
クライエント:……なんか、ムカつくっていうか、悲しいっていうか……。
「わかってくれないんだな」って思うと、言葉出てこなくなるし……。
自分のこと、ちゃんと見てもらえてない感じがして、「どうせ何言ってもムダ」って思うから、何も言わなくなるんですよね。
それで、また「言わないからわからない」って言われて……もうどうしたらいいかわかんないです。
カウンセラー:わかってくれないって思って悲しくなってたんですね、、、 自分のことを言葉で伝えるって本当に難しいですよね、、、。
自分の考えや思いを伝えたいけど、なにを、どう伝えたいかもわからない感じなのかな?
【💡解説】
▶ここがセッションの大きな転機。
▶ クライアントが明確に言語化していない感情(悲しみ・無力感)をそっと代弁することで、 本人の自己理解を助け、次の気づきにつながります。
~続き~
クライエント:……そう、そうなんです。なんか……モヤモヤしてるけど、何がモヤモヤなのかもわかんない、みたいな。
だから、言おうとしても言葉にならないし、「もう、いいや……」って思って黙っちゃうんです。
でも……本当は、ちょっとわかってほしいのかもしれないです。
カウンセラー:そうだったんですね。
それは、悠さん自身もずっとしんどかったですね。
本当はちょっとわかって欲しかったのかもしれないですって言ってくれていましたが、もしお母さんが悠さんこことを分かってくれたとしたら、悠さんはどんな気持ちになると思いますか?
【💡解説】
▶ クライアントの希望に焦点を当てる問い
▶ 問題や悩みにフォーカスするだけでなく、「どうなったらホッとできるか」を描いてもらうことで、行動変化の種を見つけることができます。
~続き~
クライエント:……うーん……。
なんか、ちょっとホッとするかもしれないです。
「ちゃんと見てもらえてる」って思えたら、
少しだけ、自分のことを信じてもいいのかなって……。
……たぶん、もうちょっと話してみようかなって気持ちになると思います。
すぐには無理かもしれないけど……逃げずにいようかなって。
カウンセラー:ホッとしそうですか。
それは嬉しいことですね。
ここで、話すことを少しづつ一緒に整理して、お母さんにちょっとずつでいいので、自分のことを話してみるのはどうですか?無理にとは言いません。
もし恥ずかしいから、1人でやりたいというならそれでも大丈夫です。その場合、いろんな方法で自分の思考を整理する方法があるのてで、お伝えしますよ
クライエント:……うん……。
ちょっとずつ……なら、やってみてもいいかもしれないです。
いきなり話すのはまだちょっとこわいけど、
ここで話してみて、少しずつ自分の考えがわかってきた気がするから……。
もし、整理の仕方とか教えてもらえるなら、知りたいです。
なんか、うまく言えなくてもいい方法があれば……助かります。
カウンセラー:まず、時間を決めて、自分の思いを書き殴りましょう。わたしはよく15分間書き続けます。思いが溜まっている時は、15分じゃ足りない!ってなるんですよ。
もしくは、こちらから質問シートを渡しますので、それに沿って室門に答えて頂くのも良いと思います。心理テストみたいなものですね。
クライエント:……へえ、15分間書き続けるんですね……。
なんか、それならちょっとできそうかも……。
心理テストっぽいやつも面白そうだけど、
今は、まず自分のペースで書いてみたい感じがします。
「書き殴る」って言葉、ちょっと気が楽になりました(笑)
上手く書かなくてもいいんだなって思えたから……。
2回目のセッション
クライエント:……こんにちは。
書くやつ、やってみたんですけど……なんか途中で手が止まっちゃって……。
最初はいっぱい言いたいことある!って思ったんですけど、
だんだん「これ書いて何になるんだろ」とか思いはじめて……。
でも、終わったあとは……ちょっと頭がスッキリしたような気もしました。
カウンセラー:こんにちは。
今日も来てくれてありがとうございます。
前回は渋々来てくれてたと思うんですが、今回はどんな気持ちで来てくれましたか?
書いてくれてありがとうございます。なかなか実行してきてくれる人って少ないんで、嬉しいです。
慣れてないときや、考えがまとまらないときって、手が止まりがちです。
前も伝えたように、書き殴る。
綺麗な言葉で書かなくていいんですよ。自分しか見ないので、断片的で、箇条書きでも大丈夫てますよ。
これをするとなんだかわからないけど、スッキリするんですよねぇ。
クライエント:……あー、そうなんですね……。
なんか、書いてるときに「こんなこと書いて意味あるのかな」ってちょっと思ったんですけど、
それでも書き終わったあと、なんとなく頭の中が軽くなったような気はしてて……。
「これで合ってたんかな?」って不安だったけど、
ともさんが「書き殴るでいい」って言ってくれて、ちょっとホッとしました。
またやってみようかな、って思えました。
カウンセラー:おっ、またやってみようかなって気持ちを持ってくれてるんですね。嬉しいなぁ。
でも無理して続けてやる必要はないですよ。頭がパンクしそうな時だけ、2週間に1回だけ、気分がむいた時だけでも十分です。
書いた後頭が軽くなって、なにか考えたことや、心境の変化とかってありましたか?
クライエント:……うん、なんか……「あ、俺ってこんなこと考えてたんだ」って思いました。
普段は、頭の中がグチャグチャで、
なんかずっとモヤモヤしてるんだけど、
書いたら、「あー、これが嫌だったのか」って気づけたりして……。
心の中をちょっと整理できたっていうか……。
書いたあと、少しだけ気持ちが落ち着いた感じがしました。
カウンセラー:嫌なことに気付けたて、気持ちが落ち着いたんですね。
次回は、その書いたことを見せてとは言いませんが、なにか私に話してもいいかなぁってことを教えて頂けませんか?もちろん無理にとは言いません。
クライエント:……うん、それなら……できるかもしれないです。
なんか、書いたことの中に、ちょっとだけ「これ言ってもいいかな」って思えることがあった気がするんで……。
全部じゃなくても……少しなら話してもいいかなって思ってます。
“話せない”には、話したくないのではなく、「話せない事情」があるということ。
そして、その“話せない事情”の奥には、
**「わかってほしい」**という願いが静かに眠っていることも。
まとめ:話すのが苦手な子には「信じて待つ」という寄り添いを
このセッションで私がしたことは、「問題解決」ではありませんでした。
ただひたすらに、
- クライアントの言葉に耳を傾け
- 目に見えないモヤモヤを一緒に見つめ
- 「それでいいよ」と伝え続けること
話せるようになるのを信じて、待つ。
それこそが、“寄り添う”ということなんじゃないか。
そんなふうに思えたセッションでした。


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