はじめに
ミカさんは30代の事務職女性。
「誰にも認められていない」「頑張っているのに空回りしている」と感じ、日々の疲れが募っていました。
「毎日、がんばっているつもりだけど、誰にも見てもらえていない気がして……本当に疲れています」
このような気持ちは、多くの人が経験する「自己肯定感の低下」や「評価されない不安」につながりやすいです。
共感し安心感を築くことの大切さ
私が最初に心掛けたのは、ミカさんの気持ちをそのまま受け止め、否定せず共感すること。
「その気持ち、すごくわかります。がんばっているのに認められないと感じるのは、本当に辛いことですよね」
アドラー心理学では、人は「所属と承認」を強く求めており、そのニーズが満たされないと劣等感を感じやすいと考えられています。
そのため、まずは安心できる環境づくりがとても重要です。
「ちゃんとしなきゃ」という重圧の背景
話が進むうちに、ミカさんは「長女」という立場からの責任感が強いことを話してくれました。
「小さい頃から『しっかりしなさい』と言われてきました。だから無意識に『ちゃんとしなきゃ』と自分にプレッシャーをかけているのかもしれません」
これはアドラー心理学の「劣等感」と「補償」のメカニズムにあたります。
劣等感を感じたとき、人はその不足感を補おうと努力し、成長のエネルギーに変えることができますが、過度なプレッシャーは苦しみを増やす原因にもなります。
ミカさんには、「ちゃんとしなきゃ」と感じる自分も大切にしつつ、その気持ちの根っこを理解していくことを提案しました。
安心できる居場所の欠如が生む孤独感
学生時代には気楽に過ごせる友人がいたものの、社会人になると関係が希薄になり、孤独を感じることも増えたそうです。
「今はどこでも気を張っていて、気を抜ける場所がありません」
心の安定には、ありのままの自分を出せる「居場所」が不可欠です。
自己肯定感を育てる勇気づけの実践
私はミカさんに、自分を労わることの大切さをお伝えしました。
「頑張った自分に小さなご褒美をあげたり、自分の気持ちを認めてあげる時間を作ることが効果的ですよ」
この「勇気づけ」は、アドラー心理学で言う自分の価値を認め、前に進む力をつけるための重要なアプローチです。
小さな一歩を踏み出す勇気:旧友への連絡
ミカさんは、学生時代に安心して自分をさらけ出せた友人との関係が、社会人になってから途絶えがちで孤独を感じていました。
「昔は気を遣わずに話せる友達がいたけど、今はそういう居場所がなくて…」
その孤独感や「ちゃんとしなきゃ」という強い責任感からくるプレッシャーに押しつぶされそうになっていることに気づいたので、私はミカさんに「昔の友達に連絡してみては?」と提案しました。
「何年も連絡していないのに、急に連絡して迷惑かな…変わってしまって話が合わなかったらどうしよう」
と、最初は怖がっておりましたが、私はこう伝えました。
「ドキドキするのは当然。でももし反対の立場だったら、連絡をもらって嬉しい気持ちのほうが大きいはず。だからきっと大丈夫ですよ」
さらに、自分の気持ちを上手に切り替えるための方法もアドバイスしました。
「人は変えられないけど、自分は変えられます。うまくいかなくても、自分で自分の機嫌を取ることが大切です。例えば『おしゃれして美味しいご飯を食べよう』と、自分を労わる時間を意識的に作るのもおすすめですよ」
この勇気ある一歩と自己ケアの積み重ねが、ミカさんの自己肯定感を少しずつ育んでいく鍵になるのです。
孤独感についての補足と安心できる居場所の重要性
今回のセッションで、ミカさんの孤独感は少し和らいだかもしれません。しかし、残念ながら一度の会話で孤独感を完全に消すことは難しいのも事実です。
心の安全や安心感を保つためには、自分が安心できる居場所を複数持つことがとても効果的です。
一か所だけでなく、職場や家庭、友人関係、趣味の場など、いくつもの安心できる場所を増やしていくことで、心は少しずつ安定し、孤独感も和らいでいきます。
だから、焦らずに少しずつ、あなたに合った居場所を増やしていきましょう。
まとめ
今回のセッションから得られるポイントは次の通りです。
- 頑張っているのに評価されないと感じるのは多くの人が経験すること
- 強い責任感は成長のエネルギーになる一方、心の負担にもなるため自分に優しく
- 安心して自分をさらけ出せる居場所を持つことが心の安定につながる
- 自己肯定感を育てる勇気づけを日常的に取り入れよう
あなたも、もし職場や日常生活で自己肯定感に悩んでいるなら、アドラー心理学の勇気づけを参考に自分を見つめ直してみてくださいね。


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